日 時 2014年11月5日(水) 13時30分~15時
場 所 ロイヤルホールヨコハマ 5階「リビエラの間」
講 師 共同通信社客員論説委員、星槎大客員教授 佐々木 伸 氏
▽イスラム国がイラクのモスルに侵攻したのは6月10日。世界を驚愕(きょうがく)させる電撃作戦だった。イラクには南部のシーア派が60%、中部のスンニ派が20%、北部のクルド族が20%いる。2003年にアメリカがイラクに侵攻し倒したフセインはスンニ派で、反体制派となったスンニ派の不満につけ入ったのがイスラム国だ。その目標はシリアとイラクの国境をなくしたイスラム国の樹立だ。
▽指導者のバグダディは謎の人物で、シリア内戦を利用している。戦闘員は2万~3万人おり、半分は外国人だ。貧しいアラブ人にとっては給料などの待遇がいい。油田や発電所を制圧し、石油密売などで1日2億円以上の収入を上げている。人質の身代金も収入源。とにかくインターネットを使った広報がうまい。
▽追い込まれたオバマ大統領は国際包囲網を築き、8月8日に空爆を開始した。シリア空爆ではアラブのスンニ派を抱き込んだが、空爆ではイスラム国を壊滅できないことが分かった。鍵を握るのはトルコとイランだ。一匹おおかみテロが欧米最大の懸念。日本も有志国連合の一員で、人ごとではない。テロに巻き込まれないために、海外渡航の際は、十二分な警戒が必要だ。
▽なぜ、自爆テロに魅せられるのか。神に一切を委ねるイスラム教には、神による最後の審判があり、個人は天国か地獄に振り分けられる。礼拝や断食など厳しい五つの戒律を守るのもそのためだ。安売りのような自爆テロは聖戦、神のために行っている。