日 時 2015年4月13日(月) 13時30分~15時00分
場 所 ロイヤルホールヨコハマ 5階 「リビエラの間」
講 師 (株)富士通総研 経済研究所 エグゼクティブ・フェロー 早川 英男 氏
▽アベノミクスの異次元緩和で、円安・株高だが、株価をドルベースで見ると上がったのは2回だけだ。長期金利は低め安定し、デフレ脱却は実現したが、原油安でプラス幅が縮小したため「2年で2%」の物価目標の達成は絶望的だ。成長率も高まっておらず、「第三の矢」が重要だ。
▽14年度はマイナス成長の可能性が高いが、消費税による反動減を考えると想定内で、景気回復基調は途切れていない。その中で労働需給が急激にタイト化し、「人手不足の時代」が到来している。成長天井の低さを顕著に示した格好だ。世界経済は全体的には緩やかな回復が続いているが、下振れが目立っている。
▽人手不足の原因は高齢化だ。人口減少はまだわずかだが、生産人口は1割減った。団塊世代の退職が影響している。これからの人口減社会では輸出や投資のウエートが下がり、消費のウエートが増加する。人手不足は小売り、外食や医療、介護分野で深刻化する。そこでの最大の経済問題は財政が維持できるかどうかだ。
▽インフレ率が2%に近づけば、長期金利は3%程度まで上昇するはずだ。そうなると大量に保有している地銀や信金が深刻なダメージを受ける。それまでに財政健全化と潜在成長力が強化されなければ、経済、財政へのダメージは計り知れない。早急に社会保障制度改革をすべきで、現状では30%近い消費税率が必要、と専門家は見ている。異次元緩和の出口にたどり着けるかどうかは、財政に対する市場の信認次第で、カードを握っているのは政府だ。