日 時 2017年6月14日(水) 午後1時30分~3時
場 所 ホテルニューグランド 本館2階「レインボーボールルーム」
講 師 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 瀬口 清之 氏
▽米トランプ政権は発足当初から不確実、予測不能、経験不足で、最近はノースタッフが加わった。日米関係は現在は良好だが、何が起きるか見通せない。ロシアゲートの捜査の行方次第では大統領弾劾か、弾劾前の辞任も想定される。4月の米中首脳会談では、シリア攻撃に対する中国の柔軟な受け止めに米国は安心した。決裂を回避できれば満点という会談だった。
▽中国経済は今、「新常態」という政策に基づいて、成長の速度をコントロールしながら経済構造の筋肉化を進めている。相変わらず都市化とインフラ建設が進み、それをエンジンに高度成長期の最終局面で、20年までは6%台の成長は達成できるだろう。今秋の共産党大会で人事に影響しないよう、安定最優先が経済や外交などあらゆる政策の大前提になっている。
▽中国には日本が追い付けない産業分野が出現している。固定電話が少なかったためのスマートフォンの発展や、店のない農村部にモノを届けるeコマース(通信販売)と、その決済をスマホで行うフィンテック(情報通信技術を活用した金融サービス)などだ。次に来るのは病院が少ないがための遠隔医療の発展だろう。
▽日本の三大自動車メーカー(トヨタ、日産、ホンダ)の中国での販売台数は380万台を超えたが、日本の新車登録台数は全メーカーで約324万台(軽自動車含まず)。中国では3社だけで日本の登録台数を超えている。それだけ中国は重要なマーケットだ。
せぐち・きよゆき 1959年生まれ。82年東京大学経済学部卒業、日本銀行入行。91年4月より在中国日本国大使館経済部書記官。2004年9月より米国ランド研究所にてInternational Visiting Fellow。06年3月より北京事務所長。09年3月末日本銀行退職後、同年4月よりキヤノングローバル戦略研究所研究主幹、杉並師範館塾長補佐(11年3月閉塾)。10年11月、アジアブリッジ(株)を設立。
著書に「日本人が中国を嫌いになれないこれだけの理由」(日経BP社 2014年)ほか。メディア関連では、NHK日曜討論、テレビ朝日「朝まで生テレビ」、BS朝日「激論!クロスファイア」等への出演、日本経済新聞「経済教室」、日経BP、週刊エコノミスト、JBプレス、環球時報(中国)等への寄稿など。