2018年1月の定例講演会「明治150年後、平成30年後の政治を展望する」/時事放談キャスター、東京大学名誉教授・御厨 貴 氏

日 時  2018年1月22日(月) 午後1時30分~3時

会 場  横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ5階「柏」

講 師  時事放談キャスター、東京大学名誉教授  御厨 貴 氏


 東京大学名誉教授で時事放談キャスターを務める御厨貴さんが「明治150年後、平成30年後の政治を展望する」と題して講演。憲法改正では「国会議員は普通の法律改正と同じように考えているのではないか。この国の未来をどう持っていくか議論することが先だ」と話した。
講演要旨は次の通り。
 ▽東日本大震災では復興格差がついた。役所が流されていると持続力がなくなるが、残っていると底力が出てくる。役所が流され役人がいないと復興計画を作っても、施策としてきちんと実行できていない。この格差をどう埋めていくかが、これからの課題ではないか。
 ▽熊本地震は復興が早い。それは、東日本大震災と違い、1県規模で起きた地震であり、火災やビルの崩壊が少なく、津波などの水の害がなかったからだ。
 ▽天皇退位は近代150年、あり得なかった事態だ。(「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」座長代理を務め)天皇のご高齢化は人道上の問題で、全てに優先して譲位を認めなければいけない。現段階では皇室典範の改正ではなく、一代限りの特例法であるべきと考えた。特例法は最短で成立した。
 ▽第2次安倍政権の特徴の一つは戦後初のカムバック総理であること。安倍総理は重要閣僚ないし自民党の重要ポストにもカムバック人材を置いた。菅官房長官や麻生副総理は就任から6年。自民は議員集団だが、高村副総裁は議員ですらない。安倍総理は、こうしたベテラン引退後の後継者を育てていない。

 

 

みくりや・たかし 1951年東京生まれ。75年東京大学法学部卒業。東京都立大教授、政策研究大学院大教授などを経て、2002年から東京大学先端科学技術研究センター教授、12年から現職。新しい政治の胎動を予見した著書「ニヒリズムの宰相 小泉純一郎論」が話題に。オーラル・ヒストリー(口述記録)を政策研究の面から重視し、後藤田正晴、竹下登、渡辺恒雄各氏らにインタビューを行い、回顧録を作成した。「政策の総合と権力」でサントリー学芸賞受賞。TBS「時事放談」キャスター。「東日本大震災復興構想会議」議長代理。「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」座長代理。