2020年7月の定例講演会/新型コロナウイルス~正しい情報で正しい行動を/川崎市健康安全研究所所長/岡部 信彦 氏

演 題   新型コロナウイルス~正しい情報で正しい行動を

日 時   2020年7月29日(水) 午後1時~2時

講 師        川崎市健康安全研究所所長 岡部 信彦 氏


 神奈川政経懇話会は29日、7月の定例講演会をユーチューブによるライブ配信で実施した。川崎市健康安全研究所所長で政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の構成員を務める岡部信彦氏が、「新型コロナウイルス~正しい情報で正しい行動を」と題して講演。感染再拡大の傾向を踏まえ「3~4月のように全体的に抑えようという段階ではないが、生活では3密を避けることが重要」と呼び掛けた。
 岡部氏は現状について、「感染症は人が動けば発生しやすく、ゼロにはならない。感染者を低く抑え、重症者を少なくし、医療体制を整える。一方、経済面では人は動き仕事をする。どう折り合いをつけるかだ」との見方を示した。
 人口100万人当たりの感染者数や死者数が欧米に比べ低いことに関しては、「文化的背景なのか、医学的背景なのか、人種の違いなのか分からない」としつつ、「日本は丁寧にクラスター対策を行い拡大を防いだ。この丁寧さが海外とは違う」と分析した。
 川崎市の状況にも触れ「発症日で見ると急増ではない。広がらないよう注意は必要だ」と指摘。その上で「感染症は見えないので不安になるが、感染者は被害者。差別や誹謗(ひぼう)があってはならない」と訴えた。
 講演会は川崎市川崎区殿町のキングスカイフロントマネジメントセンターで撮影、配信した。

 

 

おかべ・のぶひこ 1971年慈恵医大卒。同大小児科で研修。帝京大小児科、慈恵医大小児科助手、神奈川県立厚木病院小児科、東京都立北療育園小児科などに勤務。78-80年米・バンダービルト大小児科感染症研究室。帰国後、国立小児病院感染科、神奈川県衛生看護専門学校付属病院小児科部長。91-95年WHO(世界保健機関)西太平洋地域事務局(フィリピン)伝染性疾患予防対策課長。帰国後、慈恵医大小児科助教授、97年国立感染症研究所感染症情報センター室長、2000年同センター長、12年から現職。政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーも務めた。