2021総選挙シンポジウム
昨年9月に発足した菅政権にとって初めての審判となる総選挙が迫っています。世論調査で支持率の下落が続く菅政権。とりわけ最優先課題としている新型コロナウイルスへの対応には厳しい視線が注がれています。衆院議員は10月21日が任期です。選挙日程は9月5日のパラリンピック閉幕後の臨時国会冒頭で解散というシナリオが有力とされ、投開票日は10月10日や17日などが想定されています。いずれにしてもコロナ禍での総選挙は避けられません。シンポジウムでは、共同通信社の第一線政治記者が、取材に基づいた最新情報を交え総選挙の行方を占います。
配信日時 2021年9月15日(水)午後0時30分~1時30分
神奈川政経懇話会は15日、9月定例講演会「2021総選挙シンポジウム」をユーチューブによるライブ配信で開催した。共同通信社の政治記者らがパネリストとなり、政局の行方を解説。山根士郎政治部長は衆院選について「10月26日公示、11月7日投開票か、11月2日公示、同14日投開票が有力」との見方を示した。鈴木博之論説委員長がコーディネーターを務め、堀江崇之政治部与党キャップ、橋本昌明同野党キャップが最新情報を伝えた。
【自民党総裁選】
菅義偉首相が総裁選不出馬を決断した理由について、山根氏は「横浜市長選で敗北し求心力が低下。起死回生を狙った党役員人事にも行き詰まり心が折れた」と分析。菅政権は党内実力者の微妙なバランスの上に成り立っていたとし、「二階俊博幹事長の交代を打ち出しバランスが崩れた」と述べた。
総裁選の行方を巡り、堀江氏は「1回目の投票では決まらない」と予測。その上で、国民的人気が高い河野太郎行政改革担当相が勝利するには「中堅、若手議員らの支持を広げ、1回目の投票で一気に勝負を決めることだ」とした。
【衆院選】
衆院選の争点について、山根氏は「コロナ対応や経済の立て直しに加え、安倍・菅政権の負の遺産が問われる」と強調。菅氏の退陣で得票の上積みが予想されるとし、堀江氏は自公で過半数とする勝敗ラインについて「自民の本音は単独過半数プラスアルファ」と述べた。
橋本氏は、立憲民主党の枝野幸男代表が「単独過半数を目指す」と政権交代に意欲を示したことに触れ、「一気には無理。候補者の一本化が必要」と指摘。立民、共産、社民、れいわの野党4党が共通政策に合意した点に関しては「原発ゼロなどに反発し国民民主党は輪に加わらなかった」と共闘の難しさを説いた。
シンポは共同通信きさらぎ会、静岡県中部未来懇話会との共催で開催した。
◆コーディネーター
鈴木 博之 (すずき・ひろゆき) 氏
1984年共同通信入社。松江支局、大阪支社社会部を経て92年政治部。厚労省、外務省、野党、与党、官邸各クラブキャップ。2010年ニュースセンター整理部長、12年政治部長、15年編集局次長、18年名古屋支社長。20年から現職。1961年生まれ、千葉県出身。
◆パネリスト
山根 士郎(やまね・しろう)氏
1990年共同通信入社。2000年政治部。自民党の宏池会(現・岸田派)や清和会(現・細田派)、公明党などを担当。官邸、平河キャップ、政治部デスクを経て16年政治部副部長。18年整理部長、20年9月から現職。1966年生まれ、兵庫県出身。
堀江 崇之(ほりえ・たかゆき)氏
1996年共同通信入社。宮崎支局、大阪社会部、福島支局、社会部を経て2004年政治部。小泉純一郎首相番、自民党の大島理森国会対策委員長番などを担当。与党サブキャップ、国会長などを経て20年9月から現職。1971年生まれ、茨城県出身。
橋本 昌明(はしもと・まさあき)氏
2001年共同通信入社。横浜、宮崎、那覇各支局を経て08年から編集局政治部。福田康夫首相番、旧民主党の前原誠司外相番、自民党の茂木敏充選挙対策委員長番、菅義偉官房長官番などを担当。20年9月から現職。1978年生まれ、兵庫県出身。