演 題 災害への備え~想像力こそが事業継続のカギ~
日 時 2021年11月19日(金)午後1時30分~3時
会 場 県民共済みらいホール (県民共済プラザビル1F)
講 師 学校法人関東学院理事長 規矩 大義 氏
神奈川政経懇話会は19日、11月定例講演会を横浜市中区の県民共済みらいホールで開催した。学校法人関東学院理事長で同大教授の規矩大義(きく・ひろよし)氏が「災害への備え~想像力こそが事業継続のカギ」と題して講演=写真。「避けられないのが災害だが、死なない努力をするためには災害を知り、正しく恐れることが重要だ」と強調した。
規矩氏は、阪神大震災や東日本大震災などで高速道路倒壊や新幹線脱線といった想定外の被害が発生して安全神話が崩壊し、災害対策の思想が変遷してきた歴史を説明。「巨大地震は必ずやってくる。対策には何が起きるかを想像する力が大切だが、事前に想定できることの多くは過去の経験からのもの。想定できないことは、正常化バイアスが働き『多分大丈夫だろう』と考え、死に直結する可能性がある」とした。
想像力を養うには「過去の災害の被害を見ること」とする一方、「ネットの記事をうのみにしないでほしい。『山下公園で液状化が起きる』など、誤った情報がある」と情報リテラシー(適切に活用する能力)の重要性も説いた。
その上で「(自社の)敷地で何が起きるか、周辺で何が起きるのかを想像し、自社だけが生き残るだけではなく、地域や同業者との協力も考えてほしい」と指摘。「対策をコストとして捉えるのではなく、企業や地域の価値を高めていくバリューとして捉えていくことが大切だ」と呼び掛けた。
きく・ひろよし 地盤防災工学を専門とし、地震による液状化現象などを研究している。神奈川県大規模盛土造成地第二次スクリーニングに関する検討会座長、東京都防災会議地震部会委員、神奈川県公安委員等を務める。土木学会、地盤工学学会、日本自然災害学会などに所属。
1993年九州工業大学大学院工学研究科修了。工学博士。横浜国立大学工学部建設学科助手、佐藤工業中央技術研究所土木研究部研究員、関東学院大学工学部社会環境システム学科教授、同工学部長、理工学部長(工学部長兼務)などを経て、2013年12月学長、17年12月同大防災・減災・復興学研究所長、21年4月学校法人関東学院理事長に就任した。