「米大統領選の行方 ~混迷深まる超大国はどこへ」
開催日 | 2024年10月30日(水)午後1時30分~3時00分 |
会 場 | メルヴェーユ6階「ヴァランセ」 (桜木町駅から徒歩) |
講 師 | 慶應義塾大教授 渡辺 靖 氏 |
11月5日に迫った米大統領選について渡辺靖慶大教授は今月30日、横浜市中区の会議場メルヴェーユで講演(神奈川政経懇話会主催)し、「激戦区でも共和党候補のトランプ前大統領が有利で、現時点では同氏が勝つ公算が大きい」との見解を述べた。
「米大統領選の行方~混迷深まる超大国はどこへ」が演題。「世紀の大接戦」とされる今回は、「もともと選挙人制度は共和党に有利に働く上、世論調査でトランプ氏が0・2~1・5㌽リードしている。民主党候補ハリス副大統領の隠れ支持者など世論調査の取りこぼしなどがあるかもしれないので、決め打ちはできない。が、米国のマーケットはトランプ氏が勝つとみて、株価や金、仮想通貨が反応している」とした。
すでに共和党はトランプ党化しており、もしトランプ氏が勝つと「かなり好き放題できる」とし、すべての国に関税10%をかけたり、日本の防衛負担増を要求したりする。「ただ、日本がきちんと反論すれば日米関係では激震が走ることはないだろう」と続けた。他方で北朝鮮と取引し、米国を射程とする大陸間弾道ミサイルの開発中止と引き換えに、在韓米軍を撤退・大幅縮小させるなど、周辺国での影響があるとした。
米国での左右のポピュリズム(大衆迎合主義)の先鋭化による社会の分断は、経済格差などで今後も進む可能性があり、「トランプ氏は穏健だったね、という時代が来るもしれない」とも分析していた。
わたなべ・やすし 1967年生。90年上智大外国語学部卒、92年ハーバード大大学院修士号、97年同大大学院博士号、ケンブリッジ大ポストドク研究員、オクスフォ-ド大シニア・アソシエート、99年慶大助教授、2003年 ハーバード大国際問題研究所アソシエート、05年慶大教授。ケンブリッジ大フェロー、パリ政治学院客員教授、北京大学客員研究員、欧州大学院大学客員研究員、米ウィルソンセンター・ジャパン・スカラー。
国際文化会館理事、読売新聞読書委員、朝日新聞書評委員、NHK国際放送番組審議会委員長、『外交』編集委員ほか歴任。