2025年度事業計画

▽はじめに

2024年は横浜DeNAベイスターズが26年ぶりの日本一に輝くといううれしいサプライズがありましたが、石破茂政権が少数与党に転落し、米国では民主党のハリス候補がトランプ元大統領に敗れ、韓国では尹大統領が弾劾訴追を受け、英国やドイツでも与党が選挙で敗北するなど世界的に与党への逆風が吹きました。24年末には日産自動車がホンダと経営統合に向けて協議を開始するなど激動の1年でした。

2025年も、中東・ガザでは停戦となったものの、平和への道にはまだいくつものハードルがありそうです。ウクライナ戦争もトランプ大統領は停戦への自信を見せていますが、難しそうです。そのトランプ米政権は各国へ関税をかけるなど保護貿易主義を強め、北大西洋条約機構(NATO)など同盟国への防衛費の増額を求めるなど、世界の経済や安保で波乱が起きる可能性が指摘されています。

2025年の国内景気は、緩やかな回復が続くと期待されているものの、戦後80年の節目であり、団塊の世代すべてが後期高齢者になる年でもあります。生成AI(人工知能)や自動運転などの新技術による技術革新で、社会構造の変化も一層進むとも予想されており、企業経営などのかじ取りには一層の慎重さも求められるかも知れません。

こういう難しい時代だからこそ、神奈川政経懇話会では会員のご期待に応えるべく、タイムリーで的確な情報を「目で伝える」会報や、「耳で伝える」講演会、「体で感じる」視察事業などを通じてお届けしてまいります。

会員あっての当会は、2025年度も神奈川新聞社との連携をさらに強化し、会員の皆さまが「入っていて良かった」と思える、魅力ある事業展開、組織運営に注力してまいります。会費で運営される当会にとって会員数の増強は組織運営の基盤強化につながり、さらに事業の充実を図る上で重要となります。このため、引き続き会員数の増強に力を入れていきますので、ご協力をお願いします。

2024年度の事業実施は定例講演会を12回実施(2・3月開催予定含む)し、視察事業(見学会)も2回できました。ユーチューブによる動画配信(後日に期間限定)も併用し、会場にいらっしゃれなくとも講演をお聞きできるように努めてまいりました。これからも会員の皆様の声に耳を傾け、ご満足いただけるよう、事業内容の改善に努めてまいります

 

▽定例講演会の開催

神奈川政経懇話会の事業の軸は、幅広い分野から講師を招いて毎月開催する定例講演会です。

2024年度

詳しくは5月開催の決算理事会での報告になりますが、3月までに講演会を12回開催(一部予定)。県内を代表する企業であるファンケル創業者の池森賢二氏、崎陽軒4代目社長の野並晃氏、山中竹春横浜市長、三浦淳川崎市産業振興財団理事長、歴史作家の伊東潤氏、歴史学者の本郷和人氏、日体大理事長の松浪健四郎氏、フェリス女学院大の小檜山ルイ氏(25年2月予定)などを実施。米大統領選の直前にはテレビなどで活躍する渡辺靖・慶大教授、政治ジャーナリストの鮫島浩氏には24年秋の政局を総括し25年の動きを占っていただきました。

2025年度

月1回講演会を開催し、ユーチューブによる動画(後日・期間限定)配信も可能な限り併用してまいります。地元首長や政治家、国内外で活躍する経済人など神奈川ならではの講師を軸に招く方針です。一方で時宜を得た、評論家やジャーナリスト、研究者なども含め、会員企業・団体にとって経営(運営)のヒントにつながるような講演会にしていく所存です。横浜DeNAベイスターズの南場智子オーナーをはじめ、横浜を代表する企業から登壇していただくよう準備を進めております。「こういう人の講演を聞きたい」「こんなテーマで講演会を開催してほしい」という要望があれば、ぜひ事務局にお寄せください。

定例講演会は時局に応じたタイムリーな話題をお届けできるよう心掛けており、講師や演題は開催1カ月~1カ月半前の案内になりますが、可能な限り、ちらしや政経かながわの表紙裏などで早めに告知してまいります。会場選定にあたっては、これまで通り会員ホテル・ホールを中心としながらも、厳しい運営環境の中、公立の施設なども活用してまいります。

 

▽会報の発行

年間21回発行している会報「政経かながわ」は、2025年3月25日号で通算2231号になります。会報は原則第2、第4火曜日の発行ですが、日本郵政が3年前に配達方針を変更したため、お手元に届くのに2日以上かかってしまうようになりました。誌面は、神奈川新聞社編集局幹部が輪番で執筆する「視点点描」、定例講演会の詳報、地元神奈川の経済ニュースを集めた「かながわTODAY」、県内の景気動向を見る「神奈川景気データファイル」のほか、共同通信社から記事を購入している政治、経済、文化各分野等の旬の情報、身近な話題の「くらし2025」などで構成されています。「かながわTODAY」には会員の皆さまの事業活動などに関するニュースも収容しております。

 

▽国内視察事業

24年度は、川崎市産業振興財団様のご協力で、市政100周年を迎えた川崎市の産業をリードするキングスカイフロントの研究開発施設などを視察。また、相鉄グループ様が横浜市内最大の街づくりを進めているゆめが丘の大規模複合商業施設「ゆめが丘ソラトス」のオープン前見学会を実現できました。25年度は、県内の大きな施設の開業予定は把握しておりませんが、県内で注目される施設や話題になっている施設を見学できるよう準備してまいります。

 

▽公益事業の実施

当会の目的の一つである、地域経済および地域社会の発展のため、年に1回程度、講演会に県民招待を行っています。2024年度は、テレビでも活躍中の地元横浜の歴史作家、伊東潤氏を5月に迎え、講演会「武将たちの決断~歴史から学ぶ七つの教訓」を実施。県民約100人を会場招待しました。25年度も年1回は、県民招待を行ってまいります。

 

▽その他 2024年11月に始まったフリーランス新法へ対応するとともに、電子帳簿保存法に沿い、請求書類の電子データの保存を始めています。2024年4月から横浜健康経営認証2024認証事業所(クラスA)となり、健康経営にも努めてまいります。

会員交流会をコロナ禍後、試行的に年2回開催してきましたが、物価上昇や会員減による厳しい財政状況のため、2025年度は従前通り12月の年1回開催に戻す予定です。

 

神奈川政経懇話会は、1966年4月19日に神奈川新聞社の一部門として誕生し、ことし59周年を迎え、全国の地方紙に設置されている政経懇話会では最も古い歴史を持ちます。国の公益法人改革を受け、2012年4月、社団法人から一般社団法人に移行。県により課せられた公益目的支出計画は2022年度に完了しました。ただ、当会の定款には目的として「神奈川県の地域経済及び地域社会の発展に寄与」をうたい、事業に「会員及び一般県民を対象とする講演会、研修会を開催する」となっており、公益活動は継続してまいる所存です。