2016年10月講演会「現代日本政治と政局のゆくえ」/日本大学法学部教授・岩井 奉信氏

日 時  2016年10月20日(木) 午後1時30分~3時

場 所  ホテル横浜キャメロットジャパン 5階      「ジュビリーⅢ」

講 師  日本大学法学部教授  岩井 奉信 氏

 


 

 ▽今夏の参院選では改憲派が3分の2を超えた。(衆院もすでに3分の2を超え)憲法改正は現実の問題になった。今年は再び「自民党一党優位時代」という「2016年体制」が確立した年ではないか。安倍首相は9条の改正を考えているが、改憲派各党の思惑は相当に違う。
 ▽第2次大戦後、先進国で憲法を一度も変えていないのは日本だけ。社会の動静、状況によって変えていかなければならない。改憲派が3分の2を超え、改憲派と護憲派は同じ土俵で議論できるようになった。現実の問題として議論することは悪いことではない。
 ▽参院選で安倍首相は憲法には1回も触れず、経済を前面に出して戦った。「衣食足りて礼節を知る」ということわざがあるが、憲法改正は礼節。経済が課題として残されている中で憲法改正というわけにはいかない。世論調査では憲法改正には積極的な意見が多いものの、9条の問題では慎重な意見が多い。
 ▽安倍政権になり経済は明るくなったが、アベノミクスが必ずしもうまくいっているわけではない。物価上昇率2%は実現せず、経済成長も足踏み。消費増税や円安で家庭の所得はむしろ下がっている。
 ▽1月に解散・総選挙はあるのか。12月にロシアのプーチン大統領と会談し領土交渉が進展するなど要因はあるが、可能性は五分五分だろう。解散・総選挙で議席を減らしたら意味がない。自民は当選1、2回の若手が多く選挙対策ができていない。憲法改正が争点になると安倍首相にはマイナスで、これを上回る実績、イベントがなければ勝てない。