日 時 2017年1月18日(水) 午後1時30分~3時
場 所 ロイヤルホールヨコハマ 5階「リビエラの間」
講 師 元財務大臣 藤井 裕久 氏
▽米国のトランプ次期大統領はメキシコとの国境に壁を造るだけでなく、世界の壁を高くする人だ。完全な保護主義者で、それは閣僚人事からも分かる。弱ったとはいえ、米国は政治的にも軍事的にも経済的にも世界最大のリーダー。(大統領選でのトランプ氏当選は)日本の政府与党のほとんどの人が意外に思ったはずだ。
▽「(日中戦争は)侵略かどうか分からない」という安倍首相の歴史観と、それに基づく国家観は日本を誤った方向に持っていくのではないか。(アベノミクスを後押しする)日本銀行の「異次元の金融緩和」はすでに失敗していると考えている。この2点で私は安倍首相に批判的な意見を持っている。
▽自民党時代に田中派に属していた。いまでも田中角栄さんを尊敬している。それは田中さんが完全な平和主義者だったからだ。田中さんから「日本の中に戦争を知っている人がいる限りは絶対に安心できる。それがいなくなったときが大変なんだよ。おまえ、よく教えてやれ」と言われた。だから、若い人に戦争の意味を理解してもらいたいと、12年前、当時の民主党に「日本の近現代史調査会」をつくった。
▽政権は社会保障や雇用問題に注力すべきではないか。社会保障を充実させることは、少子高齢化が進んで弱くなっている国内市場を下支えする一つの手段であることは否定できない。雇用では、非正規社員を増やすことの問題を指摘しておきたい。いま消費は伸びていない。それにはいろいろな理由があるが、一つは非正規社員が増えているからだと考える。
ふじい・ひろひさ 1932年東京生まれ。55年大蔵省入省。74年同省主計局主計官、77年参議院議員(全国区自由民主党)、90年衆議院議員(神奈川3区自由民主党)。93年8月細川護煕内閣で大蔵大臣に就任し、94年4月羽田孜内閣でも大蔵大臣。99年自由党幹事長・政策調査会長、2004年民主党幹事長、07年同党最高顧問、09年財務大臣(鳩山由紀夫内閣)などを経て、12年11月政界を引退。現在は民進党近現代史調査会座長。参議院議員2期、衆議院議員7期。