2019年8月の定例講演会/「スポーツが変える。未来を創る。」/スポーツ庁長官/鈴木 大地 氏

日 時 2019年8月29日(木) 午後1時30分~3時

会 場 横浜情報文化センター6階「情文ホール」

講 師 スポーツ庁長官 鈴木 大地  氏


 スポーツ庁の鈴木大地長官が「スポーツを変える。未来を創る。」と題して講演した。鈴木氏は競泳選手として1984年のロサンゼルス五輪、88年のソウル五輪に出場。ソウルでは100メートル背泳ぎで日本競泳界に16年ぶりの金メダルをもたらした。講演では高校野球を例に「今はスポーツの変革期。勝つことは大切だが、勝利至上主義は幻想」と話した。
 講演要旨は次の通り。
 ▽金メダルを取って最高にうれしかったが、次の日から何を目標にすればいいのか困った。スポーツ選手はどんなに強くても、必ず負けるとか体力や気力の限界とか挫折を味わう。人生の早いうちに挫折を味わうことはスポーツの最高の財産だ。
 ▽2015年10月にスポーツ庁長官に就任した。22年まで5年間の四つの重要な指針を示している第2期スポーツ基本計画に沿って関係者一体でスポーツ立国を目指している。運動不足で年間5万人が死亡しているといわれているが、成人の週1回以上のスポーツ実施率65%など、健康増進を実現したい。
 ▽現在、スポーツの産業規模は5.5兆円といわれており、25年には15兆円にしたい。スポーツで収益を上げ、スポーツの環境整備に充てる。そうするとスポーツの参画人口は増えて市場が大きくなるという図式だ。スポーツを通じて新しい産業ができるのではないかと国として働き掛けを行っている。
 ▽20年の東京五輪以降、少子化や厳しい財政状況の中でも競技力向上事業を続けなければいけない。そこで中高生らの才能を発掘する「J-STARプロジェクト」を始めた。例えば、15万人の高校球児のうち1年間に試合に出られるのは5万人だけ。10万人の中から別の競技で世界と勝負できる人を発掘し応援していく。

 

すずき・だいち 競泳選手として1984年ロサンゼルス、88年ソウル五輪に出場。ソウル五輪では男子100メートル背泳ぎで、日本競泳界に16年ぶりの金メダルをもたらした。順天堂大学大学院を卒業後、米コロラド大学ボルダー校客員研究員、ハーバード大学のゲストコーチなどで留学を経験。2007年には順天堂大学で医学博士号取得し、13年同大学教授。同年には日本水泳連盟会長、日本オリンピック委員会理事に就任。15年10月より現職。また16年10月にはアジア水泳連盟副会長、17年7月には国際水泳連盟理事にそれぞれ選任された。

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本講演会は神奈川新聞社創業130周年(2020年2月1日)記念事業のプレイベントです。