2020年6月の定例講演会/職場における感染症対策~新型コロナウイルスを中心に/東京医科大学教授 渡航者医療センター部長/濱田 篤郎 氏

演 題   職場における感染症対策~新型コロナウイルスを中心に

日 時   2020年6月11日(木)

講 師       東京医科大学教授 渡航者医療センター部長 濱田 篤郎 

 


 

  神奈川政経懇話会は11日、6月の定例講演会をユーチューブによるライブ配信で実施した。東京医科大教授で同大病院渡航者医療センター部長の濱田篤郎氏が、「職場における感染症対策~新型コロナウイルスを中心に」と題して講演。「流行は冬場に拡大する。10月以降、日本など北半球は再び冬を迎え、第2波が起きるだろう」と警鐘を鳴らした。
濱田氏は新型コロナ感染拡大には、①想定外の感染力②想定外の病原性(毒性)③想定外の感染速度─の「3つの想定外があった」と解説。「ワクチンは効果や安全性が確認され完成するまで1年ぐらいはかかる」と見通しを述べた。
国内の今後の流行については、「第2波の前に緊急事態宣言解除後の再燃と渡航制限解除後の再燃の二つの危機がある」と指摘。その上で「第1波で感染した人が少なかった分、第2波は大きくなる」と危機感を示した。
職場対策では、▽従業員の感染予防教育▽職場全体の感染予防対策▽感染者が発生した時の対応▽海外出張者や駐在員の対応─がポイントとし、それぞれの対応策を例示。経営者には「経営被害への対応、従業員への安全配慮、就労制限などの法令順守、社会的責任を考慮してほしい」と呼び掛けた。
今回の講演会は新型コロナの感染拡大防止の観点から共同通信社きさらぎ会と共催し、初のライブ配信で実施。東京都港区の共同通信社で撮影した。

 

はまだ・あつお 1955年東京都出身。専門は渡航医学、国際感染症、産業衛生。81年東京慈恵会医科大学卒業。米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学に留学し熱帯感染症、渡航医学を修得する。帰国後に東京慈恵医大・熱帯医学教室講師を経て、2004年より海外勤務健康管理センター長。新型インフルエンザやデング熱などの国際感染症対策事業を運営してきた。10年7月より現職に着任し、海外勤務者や海外旅行者の診療にあたっている。19年から東京都の感染症対策アドバイザーも兼務し、新型コロナウイルス対策にも関与している。著書に「旅と病の三千年史」(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」(講談社α新書)、「歴史を変えた旅と病」(講談社α文庫)、「職場における感染症対策」(産業医学振興財団)、「海外健康生活Q&A」(経団連出版)など。