2024年4月の定例講演会/「社会課題解決型の企業」/株式会社ファンケル名誉相談役 ファウンダー/池森 賢二 氏

「社会課題解決型の企業」

開催日 2024年4月17日(水)午後1時30分~3時00分
会 場 ホテル ニューグランド 本館2階レインボーボールルーム
講 師 株式会社ファンケル名誉相談役 ファウンダー
     池森 賢二 氏

 


 化粧品・健康食品の製造・販売を手がけるファンケルを個人で創業した同社ファウンダーで名誉相談役の池森賢二氏が17日、横浜市中区のホテルニューグランドで「社会課題解決型の企業」と題して講演(神奈川政経懇話会主催)した。同社を年商1千億円以上の大企業に発展させた秘訣(ひけつ)や思いを披露し、「不安や不満などの不の解消こそ、ビジネスの原点」と強調した。
 池森氏は、妻が化粧品で肌荒れを起こしたことをきっかけに、当時、社会問題になっていた肌荒れの原因となる添加物を使わない世界初の化粧品の開発を決意。1980年、防腐剤を使わなくても品質が保持できるよう1週間で使い切れる容器に入れて販売した。
 商品が信頼されるよう「テレビでも紹介された」とPRできるようにクイズ番組でプレゼントに使ってもらったり、千円の「お試しセット」を導入したりして売り上げを伸ばした。「当時、大手化粧品は無料で試供していたが、肌にトラブルを抱えている人に、タンスにしまわれっ放しにならず、実際に使ってもらうため有料にした」という。
 コストがあまりかからないアイデアを次々と出し、「まねをしない美学を追究」した。さらに健康食品にも着目。サプリメントという呼称を初めて使い、価格破壊を行いながらパイオニアとして発展させた。
 65歳定年制を自ら定めていったんは引退したが、その後10年間で業績が悪化。75歳で経営に復帰するとV字回復を遂げた。現在は子どもたちの奨学支援やベンチャー企業の支援など社会課題に対応している。

 

いけもり・けんじ 1937年6月1日、三重県伊勢市生まれ。当時社会問題となっていた化粧品による皮膚トラブルに着目し、80年4月、無添加化粧品事業を個人創業、翌年8月、現在の株式会社ファンケルを設立、代表取締役社長に就任。99年12月、東京証券取引所第一部に上場。自ら定年制をしいて2003年に会長、05年名誉会長に就任。
13年1月に経営再建のため経営復帰し、同年6月、代表取締役会長執行役員に就任。業績をV字回復させた後、2019年12月退任。翌年1月、名誉相談役ファウンダーに就任。
若手育成のために自らが設立した池森ベンチャーサポート合同会社代表および公益財団法人池森奨学財団理事長も務める。