2024年7月の定例講演会/武将たちの決断~歴史から学ぶ七つの教訓/歴史作家/伊東 潤 氏

「武将たちの決断~歴史から学ぶ七つの教訓」

開催日 2024年7月3日(水)午後1時30分~3時
会 場 県民共済みらいホール (横浜市中区桜木町1-1-8-2、JR桜木町駅徒歩3分)
講 師 歴史作家  伊 東  潤 氏

作家の伊東潤氏が3日、「武将たちの決断」と題して横浜市中区の県民共済みらいホールで講演(神奈川政経懇話会、神奈川新聞社主催)した。織田信長や徳川家康の生き方や戦い方から導いた「己を知る」「勝負どころを見極める」「高所から考える」など七つの教訓を解説し、「歴史は知識としてではなく、教訓として学んでほしい」と呼びかけた。
 教訓「己を知る」では、「徳川家康は自分が凡庸だと知っていた。だから苦言をいう人を周りにおいて意見を聞く。それが天下取りにつながった」と説明。「信長や秀吉は、すべてがうまくいっていたので、天から使命を与えられたと思い込み、墓穴を掘っていった」とした。
 「勝負どころを見極める」では、信長の越前侵攻を解説。浅井長政の小谷城を包囲すると、朝倉義景が浅井氏の救援に来た。「普通はここで撤退するが、信長は朝倉勢に立ち向かった。逃げた朝倉勢を滅ぼした。セオリー無視の電撃作戦。信長らしく、勝負どころを見逃さなかった」とたたえた。「正しい判断を繰り返すことで、運は雪だるま式によくなっていく」と付け加えた。
 伊東氏は、神奈川新聞で好評連載中の小説「鋼鉄の城塞(さい) ヤマトブジシンスイス」の著者。「困難を乗り越えて戦艦大和を建造した技術者の物語。ものづくり日本の原点を思い出してほしいとの思いで書いた。ぜひ読んでほしい」と話していた。

 

 

いとう・じゅん 1960年横浜市生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。外資系企業に勤務後、経営コンサルタントを経て2007年、「武田家滅亡」(KADOKAWA)でデビュー。「国を蹴った男」(講談社)で「第34回吉川英治文学新人賞」を、「巨鯨の海」(光文社)で「第4回山田風太郎賞」を受賞。そのほかにも文学賞多数受賞。
2017、18年、神奈川新聞文芸コンクールの審査員(短編小説)。同紙に17~18年、千利休の目で豊臣秀吉の天下統一の裏面史を描いた連載小説「茶聖」、21年に大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の宿老の人生とそのゆかりの地にスポットを当てた連載「鎌倉殿を歩く」を連載。BS11の「偉人・敗北からの教訓」に出演中。