日 時 2014年9月10日(水) 13時30分~15時
場 所 横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ 4階「清流」
講 師 前駐中国全権大使、伊藤忠商事前会長、早稲田大学特命教授 丹羽 宇一郎 氏
▽アメリカが覇権国でなくなった今、中国抜きでは語れない。日中間はそれぞれの好き嫌い、優越感や劣等感といった歴史的な捉え方の違いもあったが、双方が現場を知り、等身大で付き合うことが関係改善につながる。障害は領土問題と歴史認識の二つだ。
▽政治局員が何人も逮捕された。中国は信頼できる国かという疑問がある。中央政治局委員は25人、うち常務委員は7人いる。政治局員は67歳定年なので、2012年体制のメンバーは3年後、ほとんどが入れ替わる。まだ政治的基盤が弱い習近平主席はこの1年半、権限を集中させ17年の第2次内閣へ向け習体制を構築しようとしている。
▽次に中国の経済。改革開放前の成長率は6.4%だったが、開放後は9.8%。国内総生産(GDP)は開放後110倍の40兆元になった。これで7.4%の成長率は先進国として高すぎる。対中貿易はアジア、欧州連合(EU)、アメリカ、日本の順。シャドーバンキングが話題になったが、中国経済が破綻すれば、世界が困る。とはいえ、債務率は54%で、国際通貨基金(IMF)が言う優等生の60%以下だ。日本は220%にも上る。
▽貿易立国といわれた日本だが、これからは貿易、観光、農業立国を目指すべきだ。ベースにあるのは教育。中国はすでにソフトパワーで日米を抜いている。中国の若者はアメリカで育っており、ハーバード大学には511人も留学している。日本はわずかに12人だ。これでは負ける。